作曲家解説

 

張替夏子 「追憶の風」
音が風に乗って時を超え現代に蘇り私たちのもとに届いたとき、どんな響きがするのだろうと思い巡らせて音を重ねて形にしました。演奏する楽器が生まれた時代にも、私たちが生きている現在と同じように風が吹いていたことを感じながら。

 

篠田大介 「TWINE」

もう10年前ということで、非常に懐かしく、またこの特殊な編成で作曲出来たことは、大変貴重な経験でした。

 

木下愛子 「黎明」  能管、尺八、箏、テオルボ、鼓のための

第1回の公演で作品発表をさせていただいた当時はまだ大学生でした(笑)muromachiにとっても私にとっても10年というこの節目に、穏やかでありながら新しい光が射し込むような、そんな曲を書きたいという思いで作曲しました。

 

齋藤圭子 「Intermezzo」

今までに書いたことのない楽器を用い、苦労しました。どのような音になるのか楽しみでもあり、怖くもあります。

 

小林弘人 「中務の和歌による素猫」

東京芸術大学音楽学部作曲科、同大学院修了。作曲を佐藤眞、林光の両氏に師事。作曲家グループ“New Sound Scape ’96~”のメンバーとして東京都内にて定期新作展を開催。ピアノ演奏家としても東京国際映画祭やFUJI ROCK FESTIVALなどに出演している。現在東京芸術大学、東京音楽大学、洗足学園音楽大学にて後進の指導にあたっている。

成田和子「Sômon remix 2017」

極彩色の波

アラン・モエーヌ 夜想曲 "夜のこと"

お祭りのさなかに、ふと静けさを必要としている自分がいることに気づいて、ひとり驚くことがある。それは、この時間を共有するという幸福に強く心を打たれて、再び仲間たちのもとに戻っていく、それまでの数分間である。

"夜のこと"は、アンサンブル室町に捧げる、私からの夜想曲、19世紀の浪漫主義の伝統に従った夜想曲である。10周年記念のお祭りの中、演奏者と観客が共にする喜びの中での、静かな物想う時を表現した。

 

山本和智 「図像学」

この作品は2010年に、ポール・クローデルの『百扇帖』をテーマに作曲したもので、初演は現在閉鎖されてしまった、日本大学カザルス・ホールでなされました。まだ邦楽器に明るくない頃の作品で、今ならもう少し良いものが書けるかと思います。ご依頼、お待ち申し上げます。

阿部俊祐 「音の影」

私がまだ藝大の大学院に入りたての頃に書いた作品で、当時初めて古楽器や和楽器の音楽を書くことにチャレンジし、今となっては未熟さの残る作品ですが、アンサンブル室町の皆様と一緒に音楽を作れたことを誇りに思っております。

 

権代敦彦 「シューニャ」

「色即是空・空即是色」

李義敬 「an in-between ; togetherness and separation」

<同じのは同じではない>というNicolaus a Huberの曲があります。この文章はいろんな意味を含めています。同じ音だけど同じじゃない、同じ人間でも同じではない、僕らは共に住んでも共ではない。。等単純な比較で見えますけど、深い哲学的な考えまで繋がってます。

アンサンブル室町はこの考えに特別に合ってるスペシャルなアンサンブルだと思います。様々な違う文化的なコンテキストを持ってる伝統楽器たちが集まって一つの音を出すというのはすごく美しい弁証法的な音楽の瞬間だと思います。僕はこの曲を通してその室町の特賞をダイレクトにみせてこのアンサンブルの貴重な存在と10周年の記念を祝いたいと思いました。

 

網守将平 「OFFULA」

実はあんまり作った時の記憶がないんですけど、リハが阿鼻叫喚だった記憶だけは残っています。

鈴木純明 「ネーレイデスに恋した男」アンサンブルのための

曲名は、M.ユルスナールの同名小説から取られています。ネーレイデスはギリシャ神話に登場する海に棲む女神たちで、この眩惑するほどに美しい髪の美女たちに誘惑された者は、言葉や理性を失い、最後には廃人となってしまう。美しさや華やかさは、人を惹きつける強い力を持っていますが、そこには同時に危うさや狂気といったものも潜んでいるのです。

 

福田恵子 「BACH・残照」尺八とバロックチェロのために

ライプチィヒでのBACH先生との憧れのツーショット。「アンサンブル室町」用の写真を探すうちに見つけたこの写真のおかげで、すでに書き上がらんとしていた曲を根底からくつがえして書き直すことになるとは思わなかった。「室町」10周年のお祝いに私も楽しむことにした。あとはどうぞ聴いてください。

久木山直 「Les étoiles」 -Happy birthday Muromachi-

今回は10周年ということで、お祝いをかねて隠された旋律を使ってみました。弾いている方々はおもわず笑ってしまうのかもしれません。お楽しみに。

山根明季子 「くるくるおどりゑ」

日本の物質過多な質感を、盆踊りの死生観とともに複層レイヤーが折り重なる持続音響とした「状態」の音楽。

黒田崇宏 「"Sentence" and "State" do often agree」

 「アンサンブル室町10周年おめでとうございます。邦楽器と西洋の古楽器のアンサンブルという類を見ないことを始め、それを継続するのには、多くのエネルギーが必要で苦しさもあったかと思います。これからもこの活動が続いていくことを願っております。」

 この作品はアンサンブル室町の10周年を祝して書かれた作品で、上記の文章から連想した素材やテクスチュアなどを私なりのパレットを用いて作曲した作品です。

タイトルの「“文”は“態”を表す」はことわざの「名は体を表す」をもじったものです。

夏田昌和 「Sur Sol」

アンサンブルの芸術監督ローラン・テシュネ氏への友情と敬意を込めて、彼がこよなく愛する、そして私自身もそうですがアンサンブル・メンバーの多くにとっても彼との出会いの場であったであろう「Solfège」に因んだ”Sol”の音を含む様々なハーモニーを、邦楽器と古楽器が交互に歌い継いでゆく曲です。そして次第に、ある著名作曲家による有名な楽曲の聞き覚えある一節が、この曲の”出典”として姿を顕します。お祝いの席に相応しい楽しい雰囲気と、ダンスやジャグリングといった他の舞台表現とも共存できるような音楽作りを目指しました。

三宅悠太 「Amorph ―即興的音風景による庭と追憶―」

「エドガー・ヴァレーズと室伏鴻に捧ぐ墓」 という演奏会コンセプトを受け作曲しました。偉大な二人への畏敬と共に音を紡いだ作品です。中世の作曲家Guillaume de Machautの《我が終わりは我が始まり》引用を始め、中間部を支配する循環和音、他、冒頭の人間の吐息など、‘循環’や‘命’を象徴するモティーフが散りばめられた作品となりました。

神本真理 「Gouttes de la fête 祭りの雫」 - pour 21 musiciens -

世界のどこにも存在しない、独特の楽器編成を持つアンサンブル室町は、その存在と音色のブレンド自体に《架空のお祭り》を思い描いてしまいます。

色に例えてみても、さまざまな配色がたおやかに混ざり合っている画像が浮かびます。

わずか1分40秒ほどの小品の中に、このアンサンブルならではの音の細密画を作ってみたいと考えました。今回の10周年記念公演によせて、私も、その記念公演に携わる“one of them”という意味も込めて、「祭りの雫」とタイトルを付けています。

木下正道 「Primes/Primitive」 for 22 players

十周年のお祝いに相応しく、年末によく聴かれる明るい感じの曲をモチーフにしてコンパクトにまとめてみました。伝統的な楽器によって演奏されるメロディが、あたかもそれらに特有の「古典」であるかのように響くことを願っています。

 

青柿将大 

「Decadestone for 10 players」 -on the occasion of the Ensemble Muromachi's 10th anniversary-

本作では、DECADE(10年)という単語のアルファベットの連なりから拍子や音高を演繹する、漢数字の「十」やローマ数字の「X」の作りに象徴されるクロスする形象を音型や構造に援用する等、様々な方法によって10人の奏者が10という数字を100秒間に刻み込むことで、節目の距離を示すために道の脇に埋め込まれた標石"Milestone"のように、10年という節目を示した「音による標石」を作ろうと試みました。

また、古代より祝祭や儀礼といった非日常の特別な時空間(いわゆる「ハレ」)とプリミティヴな打楽器的行為(「叩く」「擦る」など)が密接な関係にあったことに由来し、石などを奏する和洋2人の打楽器奏者を始め、アンサンブル全体にはしばしば打楽器的身振りが要求されています。

 

阿部加奈子 「高砂」 -篳篥とアンサンブルのための-

作品名「高砂」は、言わずと知れた能の演目からの引用です。

実は私の故郷は「高砂」に出てくる夫婦松(劇中では老夫婦に姿を変えて現れる)のうちの雄松の方が生えていたと言われる摂津国住之江・住吉の岸の近く、ということもあり、この作品は世阿弥の演目の中でも個人的に特に馴染み深いものだったりします。

播州高砂の松(嫗)と摂津住之江の松(翁)が、国を隔てて住みながらも仲睦まじく老夫婦として幸せに暮らす様子に他捉え、欧州と日本でそれぞれ発展を遂げた邦楽器とバロック楽器が、アンサンブル室町を通じて末長く幸せな融合をし、次世代への創造性を促す存在であり続けることを願って作曲しました。

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